みなし残業代という制度があります。給料の中に一定の残業をしたとみなした金額を増額して支払われることです。
課長に昇進するといきなり残業代が定額になり、このみなし残業代が適用されるようになったという人もいるかと思います。
今まで数十時間残業してそこそこ残業代をもらえていたのが、急に課長になって固定給にされていくら残業しても収入が変わらなくなってしまったという事案が世の中には多く存在するのではないでしょうか。
それでもみなし残業代で想定されている残業時間より多く残業した場合には会社に残業代を請求する権利があります。しかしいつ何時間残業したかという根拠を示さなければなりません。
今回は自分専用のWindowsパソコンを使える環境にある人という条件付きではありますが、タイムカードのない人が毎日何時に退勤しているかほぼ正確に把握できるようになるための方法をお伝えします。
パソコンは不具合発生時の早期解決の手がかりとして内部で起きているあらゆるイベントをログとして記録しています。パソコンのシャットダウン時にもシャットダウンというイベントを残して終了しているのです。
退勤時刻をパソコンのログから取り出す方法
使うアプリはコンピューターの管理
Windows10の場合で説明します。
▼スタートメニューにマウスカーソルを置いて右クリックするとこのようなメニューが現れます。その中のコンピューターの管理という項目を選択(クリック)します。
▼アプリが立ち上がりこのようなウィンドウが現れますので手順に沿ってクリックしていきます。
- 左の[システムツール]をクリックして展開する(おそらく最初は展開されている)
- その中の[イベントビューアー]をクリックして展開する(アイコンの左の>をクリックします)
- さらにその中の[windowsログ]をクリックして展開する
- さらにその中の[システム]という項目をクリックして選択する
そうすると中央にこのようなデータの羅列が表示されます。今度は右側の[現在のログをフィルター]をクリックします。
システムのログからシャットダウンのイベントだけ絞り込む
▼ダイアログボックスが現れます。これはどんな方法でフィルタリングするか決める画面です。
ここでは中央のテキストエリア<すべてのイベントID>と書かれている場所に107を入力します。「いちぜろなな」です。
そしてOKを押すと下記のようにイベント内容が絞られます。これが毎日コンピュータをシャットダウンした時刻です。
テキストファイルに保存する
▼今度は右側の項目の内[フィルターされたログファイルの名前を付けて保存]をクリックします。
▼現れたダイアログボックスで任意の保存場所と名前とを決め、ファイルの種類を決めます。ここではCSVで説明します。
▼保存したCSVファイルをEXCELで開いてみるとこのような一覧データが表示されます。2列めに日付と時刻が書かれていますがこれがその日時にシャットダウンした記録です。
ただデフォルトでは約3ヶ月分しか記録できていません。
できればもっと遡って記録を確認したいものです。そのためには今から記録期間を調整しておくしかなく、現在の設定より過去を見ることはできません。
ログの記録期間をもっと長くする
今度はログの記録期間を長くする設定をしてみましょう。
▼さきほどのコンピュータの管理で同じく[システム]の項目上にマウスカーソルを置き右クリックしてメニューをポップアップ表示させます。現れたメニューの中からプロパティをクリックして選択します。
▼表示されたダイアログボックスの中の真ん中あたりの最大ログサイズというところの数字を大きくしてみましょう。単純計算ではもともとの数値の倍にすれば倍の期間のログが残せると考えられます。
またイベントログサイズが最大値に達したとき:というところでは真ん中のイベントを上書きしないでログをアーカイブするというのを選択しておきましょう。
これで万一のときにコンピュータのどこかに過去のログがずっと保存されて続けられていることが期待できます。
あとがき
今回の方法は退勤するときまでパソコンの電源を落とさないという前提も含まれますが、おそらくパソコンを使って業務をする人はほとんどそのようなやり方をしていると思いますので敢えて断りは入れませんでした。
経営者に認められて昇進したとしてもサービス残業をするべきとは考える必要はありません。もらうべきものはもらうよう自己防衛の対策をしっかり取りましょう。
出社時刻は毎日同じだとしても退勤時刻は同じとは限りません。そして毎日自分で手書きあるいはEXCELなどに記録するのも簡単なようで面倒な作業です。自動化してしまって意識しないでも退勤時刻が記録されるようにしておくといざ過剰残業代を請求できるというときに残念な思いをしないで済みます。