就業規則の必要性
使用者(会社経営者)と従業員個々との個別の契約では煩雑であるという観点から条件を公平・統一的に制定することで事業経営を合理的効率的に行うことができます。
常時10人以上労働者を使用する会社は就業規則を作成して労働基準監督署に同じものを提出する義務があります。もちろん変更したときも速やかに同期させなければいけません。(労働基準法89条1)
絶対に必要な事項と相対的に必要な事項とあり、絶対に必要な事項については規定・記載しなければなりません。
また所定の労働基準監督署に届け出なければならず、従業員がいつでもいつでも見やすい場所に掲示等しておくことが義務付けられています。
使用者は就労規則を労働者に周知させることが必要です。(労働基準法106条1)
上記を怠った場合30万円以下の罰金を課されます。(労働基準法120条1)
周知の手段
就業規則の周知手段は次のいずれかによります。(労働法施工規則52条2)
- 見やすい場所へ常時掲示または備えておくこと
- 書面を労働者に交付する
- 磁気媒体で1と同様にいつでも見られるような設備を配置しておく
記載事項
絶対に必要な事項
- 労働時間
- 始業時刻
- 終業時刻
- 休憩時間
- 休日
- 休暇
- 就業時転換
- 賃金
- 賃金の決定方法
- 賃金の計算方法
- 賃金の支払い方法
- 賃金の締め切り時期
- 賃金の支払い時期
- 昇給
- 退職
- 解雇事由
- 懲戒解雇事由
など
相対的に必要な事項
- 退職手当
- 臨時の賃金等
- 最低賃金
- 労働者の負担
- 安全
- 衛生
- 職業訓練
- 災害補償
- 業務外の傷病扶助
- 表彰
- 制裁
- その他
まとめ
相対的に必要な事項まで規定している会社はよほど大きい会社か経営者がしっかりしている会社のどちらかでしょう。
大抵は絶対的に必要な事項しか規定していないか、せいぜい相対的に必要な事項は「別途規定する」などと有名無実な別の規則で謳っているかのように見せているかもしれません。
就業規則が見られるところに無い、または書いてあることがあまりにも抽象的すぎてあってもなくても関係ないような就業規則だとしたらあまり労働者のことを大切に考えている会社とはいえないかもしれません。
労働者との合意なしに会社は不利益な労働条件の就業規則に改変することはできません。ただし労働者に周知させ合理的な内容であれば不利益なものでも認められます。
周知とは書面を交付したり配布や掲示など見易い場所に掲示または備え付けることです。
すぐ見えるところに就業規則がない?
言いにくいかもしれませんが、会社の経営者またはそれに準ずる人に直接言って見せてもらいましょう。それでも見せてくれない場合には以下のことをしてみましょう。
- 理由を書面でもらう
- 何月何日開示請求拒否というメモを残す!!!
上記情報を携えて労働基準監督署に閲覧に行けば同じ内容のコピーがありますので見せてもらえます。ー>ただし会社に連絡が行くことがあるようです。しかしやましいことをするわけではないので堂々としていましょう。